1881.01.07(Fri)

 私は自分の苦しんでいる悪戯を家で婦人たちに話すと、皆も私に同意したように、それは私の正しいことの1つの証拠だと言った。内のある者は、私はしっかりしてるからだまされるようなことはなかろうと言った。私はそれを承認する。けれども陰謀とか裏切りとかを人のなすがままに任せるのは美しいことである。私はなすがままに任せると言った。けれどもそれは必ずしも正確になすがままに任せるのではない。なぜと言うに、私は自分で陰謀とか悪戯とかの全然出来ない人間であることを知ってるから。実に退屈で、うんざりして、実際私にはどうすればよいのか分からない。その上、人は他人より優れていることを知るのは1つの満足である。だまされて、それを知っている。それは楽しいことであり、また正直と廉直の1つの特典である。……それから良心は? 潔白な良心を持っていて、人の卑しさを見て、自分の清さを見て、自分自らの興味の偏頗(へんぱ)に対してさえ、そう感じる。しかしこんな状態の下においては偏波はほとんど消えうせてしまい、自分が犠牲にされたと感じれば感じるほどますますそれが楽しくなってくる!
 もちろん最初に示された時に私は言うべきはずであった。「そんなわけなら、私は描いてあげません!」と……しかしそうしたらA…を喜ばせることになったであろう。彼女は自分の努力が成功で冠されるのを見たであろう。私が引っ込まなかったのは、ただそれだけの理由である。
 私はこのことを声高に言う。そうして事物が進むがままに進ませようと思うことをも付け加えておこう。A…は私の妨害になることをばしないだろうと思われるから、私はそんなことはあり得ないと信じているように装っている。それ故、このことに関しては良い顔を見せている。
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by bashkirtseff | 2009-02-12 10:43 | 1881(22歳)
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