1880.09.17(Fri)

 昨日私はまた耳を診てもらいに医者のところへ行った。彼はこれだけ重大になろうとは予期していなかったことと、以前からこのくらいしか私は聞こえなかったのではあるまいかということを言った。それを聞いて私は全くがっかりした。実に恐ろしいことだ。私はもちろんつんぼではないけれども、かすみを隔てて物を見るようにしか聞こえないことは事実である。例えば、私には目覚まし時計の刻む音が聞こえない。恐らくすぐそばまで行かなければ2度とそれを聞くことはできないだろう。これは実に不幸である。時としては、対話の間にも聞き落とすことさえたくさんある。……しかし、まだめくらやおしにならないで済んだことを私は天に感謝したいと思う。
 私はものを書く時に全くかがんでいる。そうして座っていようとすると、恐ろしく体が痛む。こうなるのは泣いた結果である。皇太子の死んだ時に私はこれと全く同じ痛みを感じた。私は今朝から泣き続けている。
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by bashkirtseff | 2009-01-30 18:53 | 1880(21歳)
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