1880.07.31(Sat)

 昨日私は25号の画布に描き始めた。構図は非常に簡単である。2人の子どもが美しい森の下に座っている。木の幹は皆こけで覆われている。絵の上の方に空間があって、そこから景色が青白く見えている。男の子は10ばかりで、左の腕の下に学校の本を1冊抱えて、その目は何物をも見ないで、正面を向いて座っている。女の子は6つばかりで、片手で男の子の方を引っ張り、片手で1つのナシを持っている。顔は横向きで、男の子を呼びかけているように見える。子どもは2人ながらひざまできり見えない。なぜと言うに尺度が等身大であるから。
 パリを立つ前に私はジョルジュ・サンドの「アンディアナ(底本:「インヂアナ」)」を読んだ。私は断言しますが、少しも面白くなかった。しかし私は「愛の妖精」(同じくジョルジュ・サンドの小説/底本:「小さいファデット」)とその他2、3冊とそれから「アンディアナ」を読んだだけであるから、正確な意見を与えることはできない。けれども今までのところでは、私は彼女の才能には少しもとらえられない。世間ではあれほど声高く称賛しているにもかかわらず。私はそれを好まない。それはラファエルの「聖母」に対すると同じである。私がルーブルで見るところのものは私を喜ばせない。私は判断のできない前にイタリアでも見た。そうしてそのとき見た物も同じく私を喜ばせなかった。それは神聖でもなければ、人間くさくもなく、私には、習俗的でかつボール紙のように思われた。
 私は今日馬に乗ろうと思っていた。……けれども、もうそんな気はなくなった。仕事をしないで1日を過ごすと私は非常に後悔する。日によると私は何もできないことがある。そんなときは、やろうと思えばできるのだと自分で自分に言って、自分を非難して、結局はこう叫ぶ。皆よしてしまえ! 人生なんかつまらない! そう言って私はタバコをふかしながら小説でも読むのである。
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by bashkirtseff | 2009-01-27 09:08 | 1880(21歳)
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