1880.06.14(Mon)

 私は今自分で好きでたまらない過去の記録を読んでいる。Cが良く来て私を幻惑させていたころのことを思い出す。私は彼の挙動を述べてみることも、私の印象を述べてみることも出来そうにない。……私の心は私が彼に手を差し出した時に皆彼の所へ行ってしまったように思われた。そのとき私は自分が高まって、あらゆる肉の束縛から自由になったように感じた。
 私は翼が生えてくるように感じた。それから、時が非常に早く過ぎ去るような致命的の恐怖を感じた。そうして自分にははっきりと分からなかった。……私の物を書く性質が興味ある事実だけを引き離して書くことが出来ないで、何もかも混同しているのは、何という惨めなことだろう! それから、白状すると、私は私の全存在はCの中に包まれていないように見せかけるために、あらゆるものに興味を持っているがごとく装った。しかし再びまたその時代の生活を繰り返してみると、私はそのほかのすべての物にその時代が取り囲まれていたことを見いだして驚いている。しかしそれが人生そのものに似てはいないだろうか?
 けれども世の中にはそれだけを取り離して秘蔵の箱にしまい込んで金の錠前を下ろしておきたいような物やことや人があるものである。
 ──あなたが今にあの人より優れていると感じるようになれば、あの人はもうあなたに影響しなくなるでしょう。ジュリアンは言った。
 彼の肖像を描きたいという考えが私を勉強させたのではなかったかしら?
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by bashkirtseff | 2009-01-17 12:27 | 1880(21歳)
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