1880.05.01(Sat)

 想像される限りのもっともばかばかしい不必要なうるさいことが始まった。明日は復活祭であるので、今夜私たちは正式のミサに行くのである。そこにはロシアの移住民が、上は大使とその随員からして皆集まるはずである。流行と美と虚栄に縁のある者は皆前に押し並んで、ロシアの女の服装の陳列会が開かれて、それが一般の話題に上るのである。
 ところが、その間際になって私の新調の着物を持ってきたのを見ると、古く汚れた紗を束ねたようなものであった。それでも私は着て出掛けた。しかし誰も私の人知れぬ腹立たしさを知る者はない。私の腰は仕立ての悪い曲がった胴着の中に隠れてしまって、両腕は不格好に長い袖のために短く見えて──要するに甚だ悪い体裁である。のみならず、その紗は昼間に見たことはあったが、夜見ると全く薄汚れした色である。私はそれを引き裂いて教会から逃げ出さないでいるためには、どれだけの我慢をしたか知れなかった。良いものが無くてまずい服装をするということはすでに十分に嫌なことであるのに、良いものが着られるはずでいて今夜のようにお化けのような様子をしているとは、何ということだろう。髪までがまた私の気分に倣って、だらしなくほぐれて、顔がほてってきた。何というみっともなさだろう。
 今朝私はジュリアンの若い男を見にサロンへ行った。彼は出来そうもないことを私にしてくれるとさえ約束した。私は黒い毛織りの非常に単純なのを着ていたにもかかわらず、私の顔は生き生きしていた。それだけ注目された。
 それに今夜は! ああ! のろわれてあれ!
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by bashkirtseff | 2009-01-16 14:34 | 1880(21歳)
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