1880.02.16(Mon)

 私たちは女皇に会いに行った。女皇は非常に丁寧な人である。
 私はまだ自分の絵に対していろんなものを注意している。
 今夜はテアトル・フランセーズでサルドゥ(当時有名なフランスの制作家/1831-1908)の「ダニエル・ローシャ(底本:「ロオシャ」)」の初演で、大事な晩である。私たちは6席の立派な桟敷を取った。大入り満員で、政府の主立った人たちも来ていた。
 芝居に関しては、私はいま一度見直さなければならぬ。何だか退屈な場面があって、対話があまりにスイス風なところがあるように思われた。非常な騒ぎと喝采で、口笛を吹いたり手をたたいたり、反対の声を上げたりして、せりふが半分も聞こえなかった。主人公は大雄弁家で、無神論主義のガンベッタといったような人物であり、女主人公は英米種の、新教徒の、若い婦人で、自由思想家で、共和制主義者で、ただし信仰の深い女であった。
 この題材がいかなる効果を今生ずべきかは、あなたには想像が出来ることと思います。
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by bashkirtseff | 2009-01-08 11:10 | 1880(21歳)
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