1879.10.30(Thu)

 フランスは面白い愉快な国である。暴動と、革命と、流行と、機知と、美と、純化の国である。簡単に言えば、生活に興味と刺激とを与えるあらゆるものの国であるけれども、まじめな政府や有徳の人(言葉の昔からの意味において)を求めても駄目である。また愛の結婚を求めても駄目である。また真の芸術を求めても駄目である。フランスの画家は皆立派ではある。けれどもジェリコー(ドラクロワと並び称された画家/1791-1824/底本:「ゼリコオル」)と、現在においてはバスティアン・ルパージュを除いては、神聖な霊感というものが欠けている。そうして決して、決して、決してフランスは、イタリアやオランダがある特殊のものにおいて制作したようなものを制作しえないであろう。
 フランスは女にいんぎんなことと快楽の多いことにかけては美しい国であるが、その他のことにかけては……しかしほかの国は尊敬すべき堅苦しいところがあって退屈なことがあるが、フランスだけは常に何物かを持っている。私がフランスについて不平を言うのは私が結婚していないからである。……フランスは若い娘たちにとっては不名誉な国である。ただしこの言葉はあまり強い意味で使ったのではないが、2つの動物を結合することにおいて見られる冷静な皮肉は、フランスで男と女を結婚させることにおいてもっとも良く見られる。
 商売、取引、投機は適当の場所に用いられれば名誉ある言葉にもなるが、結婚に用いられれば不名誉な言葉となる。しかしフランスの結婚を表すのにこれ以上に適切な言葉はひとつもない。
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by bashkirtseff | 2008-12-24 09:51 | 1879(20歳)
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