1879.05.30(Mon)(もとのまま)

 ジャンヌが私のために座ってくれた。私たちは彼女と一緒に食事をした。
 彼女は、言うまでもなく、素性の正しい、完全に育てられた、教育ある、聡明な女である。服装は良くないけれども、実際はあなたが見たいと思う内でも1番美しい姿をしている。褐色でやせてはいるが。
 彼女は立派な大きな目と、その目に匹敵するほどの、またその鼻の厚さに劣らぬほどの広い口をしている。鼻は実に大きなものであるが、形が美しくて上品である。そうして首は白鳥のようである。彼女を見ていると私はイタリアの皇后を思い出す。もっとも色は黒いけれども。しかし、皮膚は顔と違って白い方である。
 彼女は少男爵W…といういやな男と結婚したのであった。
 この気の毒な女は、家族の人たちが救い出すために離縁を頼みに行った時は、死の戸口に立っていた。気の毒な女! 彼女は彼を憎んでいる。そんな場合には、夫と暮らすよりは水の中へ投身でもした方がましである。しかし私はジャンヌが少しでも愛しうる女だとは思わない。彼女は femme de Temple〔聖堂の婦人〕である。あなたが I' Homme-Femme〔女男〕をお読みになったとすれば。
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by bashkirtseff | 2008-12-18 10:46 | 1879(20歳)
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