1879.03.16(Sun)

 ココが死んだ。戸口のすぐ前で荷馬車に押しつぶされたのである。
 私は彼を食事に呼ぼうとするとその話を聞かされた。ピンチオ1世(その地位をば今のピンチアが満たしている)の死んだ時の悲しみに比べれば、今度の不幸はそれほどでもないが、それでももしあなたが家で生まれた犬を飼っていたならば、若い、いたずらな、ふざけ好きな、顔立ちの良くない、善良な、情愛の深い、そうして子どものような熱心な無邪気な2つの目であなたを見詰めながら飛びかかる犬を飼っていたならば、私がそれを失ってどのくらいまで悲しんでいるかを理解して下さるでしょう。
 犬の霊魂はどこへ行くのだろうか? あのかわいそうな小さい動物は、長い白い毛のない体をして、後ろにも前にも毛のない体をして、その大きな耳を片一方だけいつも立てて、ほかのひとつは垂れていた。私はあの高貴な恐ろしい動物よりは、醜くとも犬の方が10倍も好きである。
 彼は黙示録の獣のひとつのような、また、ノートルダムの屋根の上の怪物のような顔つきをしていた。
 ピンチアは自分の息子が殺されたことも知らないらしい。彼女は新しい家族を持つことになりそうである。その家族たちは皆ココとかコクリコ〔美人草〕とかいう名前にしてやろう。犬には霊魂がないと言われているようだ。それでも良いじゃありませんか?
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by bashkirtseff | 2008-12-15 13:39 | 1879(20歳)
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